2006年から現在までの13年間公文式教室の指導者をしています。
教室の先生から心理セラピストに転身しようと
思ったきっかけはひとつではありません。
たくさんの生徒、親御さんと接する中で親子の関係が
しっくりいっていない、学校での自分の居場所がない…
など、生きづらさを感じている人が多いと知ったことも
ひとつの要因ですが、
一番わたしの心を動かしたのは、
次男の言った
「オレ、あのとき”うつ”だったかもしれない」
という言葉でした。

「あのとき」というのは、
今社会人の次男が、まだ高校生だったときの話です。
レベルとしては中ぐらいの県立高校に通いながら
水泳部に所属し、
プールが使用できない季節にはスイミングスクールにも
通っていました。
次男には、どうしても切りたい目標タイムがあったからです。高1の終わりには、タイムが切れるまであと少し!
というところまで来ていました。
ところが、もともと体力がなかったからなのか、
学校の勉強と、スイミングでの厳しい練習との両立が
だんだん厳しくなっていきました。
順調に成長していたはずが、
ある時点でピタッと止まってしまったのです。
「こんなはずじゃない!」
次男の様子に焦りの色が見え始めました。
その焦りに呼応するように、目標タイムを切るどころか、
どんどん遅くなっていったのです。
どんなに疲れていても、翌日には学校があります。
疲れが抜けないまま登校すると、
今度は授業の内容が頭に入ってこない…
当然のように、学校の成績も落ちていく一方でした。
こんな生活の中で、まじめな性格の次男は、
じわじわと精神的に追い詰められていったようです。
顔の表情からは一切の笑顔が消え、
いつも伏し目がちで一人でいることが多くなり、
食欲もいつしか無くなっていき、
きつい練習をしてお腹が空いているはずなのに、
お弁当を残して帰るのが当たり前になっていました。
この状態を客観的に見れば、
「そんなのすぐに辞めさせたらいいのに!」
と誰もが思いますよね。
ところが、当時のわたしは、
そんな状況を深刻に受け止めていなかったのです。
「今はしんどくても、ここから逃げ出さないで。
目標タイムが切れたら、スイミングを辞めてもいいから、
それまでは頑張ろう!」そう言って励ましていました。
中途半端に投げ出すのは本人のためにならない。
そんな風に考えていたのです。

こんな母親をどう思いますか?
「独りよがりで、わが子の苦しみから目をそむけている」
そう言われても仕方がないと思っています。
でもどうでしょう…

 あなたは同じ間違いをしない自信はありますか?

自分が「正しい」と思うことを子どもにさせたいと願う。
つらいことを乗り越えた向こう側に得られるものがある…
その考え方は決して間違ってはいないと思うのです。
ただ、このことからわかるのは、
「正しい」ことは必ずしも人を幸せにしないということです。幸い、次男が自ら
「タイムは切れなくてもいいからスイミングは辞める」
と言ってくれたことで、
この苦しい生活に終止符を打つことができました。

あれから数年の月日が流れ、
次男から「あのとき”うつ”だったかもしれない」
と聞かされ、
わたしは、はじめて自分の過ちに気づいたのでした。
このことが、わたしを心理学に向かわせたきっかけです。

 わたしは変わらなければ..そう感じました。
 家族のために、通って来てくれる教室の生徒のために…
そのためには、人の心理についてもっと深く知りたいと思いました。

それから「メンタルケア心理士」の資格を取り、
現在も心と体の健康について学び続けています。
きっと、今もどこかに、
わたしたち親子のような状況下で悩んでいる方々が
存在するのではないでしょうか。
 わたしは、そんな方や、それ以外でも悩みを抱えている
全ての方が元気になれるお手伝いがしたいと願っています。